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2025年1月15日 (水)

米・ロスの大規模山火事は他人事ではない

 米・カリフォルニア州ロサンゼルスで発生した大規模山火事は日本の山手線の内側の2倍以上の面積を焼失し、約1万棟以上が損壊しました。避難を強いられている市民は15万人を超え、被害に遭った市民の悲しみをTVで観ていると、人間の無力さと備えが如何に大切かを感じました。被害額は、約21兆~23兆円に達すると言われています。

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 山火事は「人意の問題だ!」と、報道されていますが、それは州の消防予算削減、防災用貯水池の工事計画と言われています。私は、それが気象現象との関連を踏まえた予算になっていない行政、住民の想定外の異常気象があるかもしれないという危機感の表れではないかと思います

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 今月12日、初の森作業で足尾・松木沢に入った時、町民の森ともから聞いたのは高齢の町民が火災で亡くなったという悲しい話でした。私は、「明日は我が身」かもしれないと思いました。また、火災の規模は違いますが、想定外の異常気象に対する住民の意識現状は分かりませんが、年々増える高齢化に対する行政の生活サポート、アドバイスという面等も振り返ることが私たちに求められていると感じました。

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 大気中の温室効果ガス濃度がある水準を超えると気候変動が加速する(テッピングポイント)と、言われています。ところが、世界のCO2の排出量は年間300億トンを超え、100年前の10倍になっていますが、排出量は増えるばかりです。2024年の日本の気温は2023年の平均を1.48度上回り、統計以来最も高くなりました。海面水温が高くなればなるほど大気のエネルギーは変化し、極端な気象を巻き起こします。それは年末年始の気象現象をみれば分かります。それも想定外の気象現象として現れ、「観測史上初!」等と報道されていますが、その現場では生活が脅かされているのです。

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 2025年は想定外の異常気象に向き合う一人ひとりの問題でもあり、それは行政の問題でもあり、市民の声を行政に反映させる市民力が試される年だと思います。現に、政府の「省エネや脱炭素化」は目先の経済成長を優先した政策であり、それは産業界と富裕層を優遇するための政策にみえます。黙っていると、私たちはその政策を支える納税者と消費者として動員されそうです。

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 私は、20年間育てている「松木郷の森」に寄り添い、全ての生き物たちの命を育む「母なる森」へ磨きをかけていく一年にしたいと思います。

運営委員 大野昭彦

 

2024年12月23日 (月)

できないと思っていることをやってみる

 今年の足尾・松木沢の森作業は20日が仕事納めでした。森づくりスタッフ、サポーターの皆さん、1年間の森の手入れお疲れさまでした。また、この活動を支援してくれました各団体さま、会員の皆さまにこころから感謝申し上げます。ありがとうございました。202412251 足尾の森づくりスタッフ、サポーターは年間延べ約1か月も見地に入り、土を耕し、苗木を植え、草を刈り、時には獣害に向き合ってきました。この活動は全ての生きものたちの命を守る「母なる森」へと、その希望を次世代へつなげているものです。202412252 特に、今年(2024年)は煙害や山火事で荒廃地になった地に木を植えて来年で20年を迎える松木沢に、人が森に寄り添って生きていける“松木郷”が体感・体験できる環境を整えてくれました。202412253 来年はこの森を散歩しながら、 “自然環境と人とのつながり”や“森は友だち!”ということを体感できることを楽しみにしています。202412254 世界中の人々の生存を脅かしている異常気象は今年も各国で猛威をふるい、その被害は拡大するばかりで、私たちはその猛威が過ぎ去るのを待つばかりでした。師走の寒気・寒波は乱高下しながら関西や四国などに雪を降らせています。気象専門家や学者によると、暖かく湿った水蒸気が上昇し、それが北極の極渦を分裂させ、寒気が乱高下していることが関係しているらしいのです。世界中の異常気象(大雨・猛暑・暴風・豪雪等)の猛威もそうであるように、地球の海水温度の上昇から異常気象がはじまっているようです。202412255 海水温度を下げていくにはなんとしても温室効果ガス(二酸化炭素)排出を削減しなければなりません。しかし、その排出量が多い国々の首脳は自国の経済第一路線を強力におしすすめ、削減どころではありません。このままでは私たちの生存の基盤であるエコシステムと密接に連関している様々なサイクルは衰弱し、生きものたちの生存がますます不安定になっていきそうです。202412257 足尾の森づくりの恩師である故・岸井成格さんは、生前、“現代は人間活動のパラダイムシフト期だ!”という旨のことを何度も言っていました。私は、今でもそのように思っています。2025年は、自然環境と人とのつながりを軸(自然環境に負荷をかけ過ぎない人間活動)とした社会像を描き、試行錯誤をしながら、私たちが生存していく価値観を養う体感・体験が求められていると思います。(写真上:次世代の草木の土壌づくりに励む煙害地に50年以上も生きるヤシャブシ2本)202412256 私は、20年間の森づくりで得た体感・体験を言葉に紡ぎ、それを森づくり20年後の“山と心に木を植える”活動の軸にできないかと熟慮中です。とりあえずは、2011年東日本大震災・東電フクシマ原発事故の恐ろしさ、新型コロンウイルス感染のパンデミック恐怖の体感・体験で得た生存のための心得を整理しています。来年春には森びとのシンポジウムが計画されているようですから、出席者の方々との意見交換を愉しみにしています。健やかな新年をお迎えください。
                              (森びとアドバイザー・髙橋佳夫)

2024年12月15日 (日)

私たちの暮らしに原発回帰はプラスにはならない

 先日、政府が原発を「可能な限り依存度を低減する」の言葉を削除しようしている記事を目にしました。

20241215_191118_2 先月、国民民主党の玉木代表が石破首相を訪ね、原子力発電所の稼働や建て替え、増設といった活用方法を政府の新たなエネルギー基本計画に明記するよう要請しています。言うまでもなく地震大国の日本では、今年元日に発生した能登地震において土砂崩れや海面の隆起・道路の陥没が起き、原発の立地する地域での災害時の避難の難しさが露呈し、安全面の不安は増したばかりです。9月には豪雨にも見舞われ、いまだに数万人もの人が避難を余儀なくされている中で、住民の方の不安を解消することなく、政府へのこのような要請や原発回帰への動きに怒りしか出てきません。

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 そのような中、アメリカのIT大手の間では、原発による電力を活用しようという動きが広がっているそうで、AIの利用拡大でデータセンターの電力使用量は、2023年~30年の間におよそ3倍になるとの予測もあります。日本では、JR東海の進めるリニアの消費電力は東海道新幹線の約3倍、原発3~5基分の電力が必要と言われています。

20241215_191349 さらに、経済産業省は原発の新増設を進めるため、建設費を電気料金に上乗せできるようにする制度の導入を検討していることが報じられ、私たちの生活を苦しめようとしています。

20241215_194634 果たして、便利になること=私たちの暮らしが良くなるのでしょうか。政府や企業等一部の利益がもたらされる人たちのために原発の利活用が推進されるとしか思えません。原発の利活用に舵を切るということは、原発事故によるリスクを堂々と包み隠すことなく明らかにして議論するべきです。ちなみに、福島原発での廃炉が13年でデブリの12億分の1の回収しかできていません。反省をすることなく、いつとも分からない未来へ廃炉を押し付けていく企業の責任は極めて重大です。

 最後に1つ明るいニュースですが、全国知事会で栃木県の福田富一知事は、新たな温室効果ガス削減目標をより高く設定するよう環境省に要請しました。政府は2035年度までに温室効果ガスを13年度比60%減とする方向で調整中ですが、研究者や市民団体などは75%とも80%減が必要と言っており、削減目標の引き上げのうねりを大きくしていかなければなりません。ひとたび事故が起きれば土地を汚染し、市民のいのち・暮らし・仕事を奪う原発の利活用にはNOをあげ続けていきます。(運営委員・小林敬)

2024年12月 1日 (日)

森ともの声を社会運動へ反映したいと願う

 先月、私は二人の感想文を読んで気候危機等から自分の命を守ることの危機感が薄氷のようなものであることを突きつけられました。

 その感想文は、11月3日に実施した「中倉山のブナを元気にする恩送り」というブナ保護活動でご一緒した登山ガイドのMさんと9日に行われたJREU大宮シニアの森の散策と以前植樹した地の草刈りに参加してくれたMさんからのものでした。

 ガイドのMさんは「一歩一歩自分と向き合い登っていくとそこに凛々しく立つブナが待っており、“このくらいで大変と言ってはダメだよ”と、まるで“人生の師”のような圧倒的なブナに逢う事が出来ました」(一部)と感想を書いていました。シニア会のMさんは「今、我々が行動しなければ手遅れになる。子や孫たちが気付いた時では間に合わない。現状に危機感を持っていない自分に気づかされた」「自分に出来ることを考え、危機意識を共有する場をつくる」と書いていました。その後、登山ガイドのMさんは、今後は中倉山を案内したいと言ってくれました。

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 東京郊外に住む私は、気候危機という生存の不安定な社会を前にして、LED電球の交換、あるいは中倉山のブナの種から苗を育てるという程度のものでした。私は、二人の感想文を読み返し、2024年の世界平均気温が過去最高を示すと言われている中で、次期米大統領の「燃やせ!燃やせ!」に現われている温暖化姿勢、COP29での二酸化炭素大量排出国や産油国等の温暖化対策へのブレーキ踏み言動等を見聞きすると、海水温度は更に上昇するとともに気候も変化し続けると思います。世界各国の人々は年を追うごとに異常気象に怯えた生活を強いられます。

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 このような予測をすると、二人の感想は“気候危機には待ったなし!”というレベルではなく実践的であると思い、感動し、嬉しく思いました。運営委員2年目に入る私の1本の柱がふたりから提案されました。本格的に始まる「エコ散歩in足尾」では、私の生存の危機を一緒に散歩する方々と共有していきたい思います。そして、この危機感を社会へ拡げていく私たちの勇気へ繋げていきたいと考えています。

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 最後になりましたが、己の生存危機に向き合う姿勢を振り返ることの大切さに気づかせてくれた二人に感謝申し上げます。 

 運営委員  田城 郁

2024年11月15日 (金)

物流で暮らしを支える労組員が温室効果ガスを吸収する森づくりに汗を流す

 11月11日から国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)がアゼルバイジャンで開催されました。伝えられるニュースを聞くと、地球温暖化・気候変動に歯止めがかけられるのかと危機感を覚えます。

 世界気象機関(WMO)は2024年1月~9月の世界平均気温を巡り、産業革命前の水準と比べて上昇幅が1.54℃を超え、今年の平均気温は観測史上最も高くなる見込みだとの分析を発表しました。そして、世界のリーダーが一堂に会して生物生存の危機をいかに防ぐかを議論しなければならないCOP29の首脳級会合に、二酸化炭素排出量1位から5位の中国、アメリカ、インド、ロシア、そして、日本が不参加という現実です。2025年以降の途上国支援の資金規模の目標や出し手の範囲などに合意できるかが焦点とされていますが、温室効果ガス排出削減と同時に、吸収源の森を回復・元気にさせる議論にも注目しなければなりません。

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 日本の物流を担い人々の暮らしを支えるJR貨物労組の皆さんが、地球温暖化の進行に危機感を持ち、2009年から足尾松木郷「臼沢の森」で植樹・育樹活動を行っています。

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 「貨物労組の森」と名付け愛着を持って草刈りや森の観察をしていますが、臼沢の中腹東側にある急斜面の植樹地は木々が葉を落とす冬場は上部からの見晴らしがよく、ウサギやシカの食害にあっていました。毎冬、植樹地を囲う獣害柵の点検・補修をしていますが、補植した幼木の糖分を含んだ芽は動物たちの絶好の餌として狙われ、木々の生長が阻まれてきました。大きく育ったミズナラもクマ棚がつくられ、「どんぐりの実」を食べる際に枝が折られてしまいました。

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 植樹地周りの獣害柵だけでは木々を守れないことから、貨物労組の皆さんが今年5月に幼木1本1本を食害防止ネットで囲い、11月1日に草刈りを行いました。食害防止ネットで守られた幼木は枝を伸ばし、光を吸収していました。木々の生長は急斜面を登る苦労も草刈りの疲れも忘れさせ、荒廃地の森づくりの厳しさを学んだ組合員の皆さんは「貨物労組の森」を本当の「森」にしたいという熱意と喜びに変えてくれたようです。

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 11月1日の育樹作業に参加された組合員から届いた感想を紹介させていただきます。

 ≪いのちの森づくり≫ JR貨物労組 Nさん

 私が足尾の森づくりに参加するようになってから、初めて晴れて作業できた日でした。

 貨物労組の森までは相変わらずの山登りの辛さでしたが、今回は休憩を取ったり自分のペースで登ったりという事を意識したので、前回よりは疲れずに登れました。

 草刈りは森びとの方々が下の方を刈っていただいていたので、頂上まで行きやすかったです。ありがとうございます。秋になり枯れている草も多く、植樹した木は幹ガードがついているので、ガシガシと草刈りが進んでやりがいがありました。自分が作業した前後で写真を撮りましたが、ボーボーに生えていた植樹地が、真っ平らになって気持ち良かったです。また、幹ガードを付けた苗木がグングン伸びていて生長しているのを感じました。これから寒くなりますが、クマが入ってきて幹ガードを壊したりしないことを祈ります。

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 民集の杜の散策では苔のふかふかが気持ち良かったです。暖かくて桜が咲いてしまっていたのは温暖化を身近に感じました。そして、森を見ると貨物労組の森はまだまだ補植しないと「森」には程遠いなと思いました。

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 10月14日に明治神宮外苑の「いちょう並木」の観察に家族と行ってきました。老朽化しているスポーツ施設を再構築するのは良いですが、沢山ある木々が伐採されてオフィスビルなどが建つのは違うと思います。緑が今の25%から30%に増えると言っていますが、あくまでそれは完成した時であって、長きにわたってきちんと木々が成長していくかは不安な部分があると思います。

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 これからも積極的に森びとの活動に取り組んでいこうと思います。 以上

(運営委員会副代表・清水 卓)

2024年11月 1日 (金)

森びと先人の志が宿る足尾の森を歩く

 10月下旬、足尾の森づくりに尽力された故・小井土さんは森づくりスタッフとの話し合いを大切にしてきました。その場では対立がありましたが、納得いくまでの間は緊張感もありました。このようなスタッフ間の話し合いのうえに現在の森があり、人が集って20年を迎えられています。このような人と人とのつながりに支えられている秋の森の生長を見てほしいと願って、先日、奥様とその友人を案内しました。

Cimg0038 奥様からは、「この地で夫と森づくりをした時のことを想いだしました。懐かし場面が込み上げ、今は亡き主人の記念樹を見ながら、本当に良くやってきたと思います。人間が壊した荒廃地での森づくりは100年、200年もかかると言われていますが、20年足らずで素晴らしい森を歩くと、素晴らしい人生を送ったと思いました」と、感想が述べられました。

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 “素晴らしい人生”という言葉を聞いて私は、故・小井𡈽さんの目的を実現していく気質(人間性)とそれを受け入れてきた森びと諸先輩の人間性から、今の自身を振りかえらなくてはならないと感じました。植林ボランティアの皆さんと森びとスタッフの私たち、そして私たちを支援してくれた方々に自信をもって観ていただきたい足尾・松木沢の小さな森。

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 この地を散歩すると、この地で生活していた旧松木村人の生活の息吹が聴こえてきそうになる「松木郷の森」。そんな気がする世界に誇れる森を育ててくれた小井𡈽さんご夫妻。天空の森の故・小井𡈽英一さんは、「森づくりを始めて15年が経ち、育てている生き物たちの息吹が聴こえるのがとても嬉しい。身体が動くうちは森作業を続け、本物の森の姿を見てみたい」(要旨)と、森びとノートにメッセージを遺しています。20年後の森づくりは母なる森にむけて森びと先人の志を森びと次世代へバトンタッチしていくことだと思いました。

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 衆議院選挙後の世論で感じることは、「国民を守る・・・」という裏に党利党略が透けて見え、有権者が立候補者に託した要求の実現が霞んでいるということです。反面、有権者の健康が守られ、生活を改善できる絶好のチャンスだと思っています。このチャンスを逃さないためには有権者のつながりにパワーを貯え、それを発揮することが求められていると思います。

 人間の全ての活動の根底にある条件は生きていることです。故・小井𡈽さんをはじめとした森びと先人の志もそのつながりに加え、世界中の“森の友だち!”とスクラムを組んでいければ嬉しいと思っています。生物社会の一員が言う“民意”とは、エコシステム内の生物が生きていることが前提になっているのではないかと思います。(運営委員 大野昭彦)  

2024年10月15日 (火)

「生物季節観測」はどこへ消えた?

 2021年1月に気象庁はサクラの開花に代表される「生物季節観測」の大幅な縮小・廃止を行い、それまでの植物34種、動物23種から植物6種としました。すべての役所が出先も予算も人も減らしているので仕方がなかったのか。でも、これこそ今はやりのAI、あるいはネットによる市民参加型にすればいいのに。

 最近とみに激しさを増す地球温暖化の影響で、身の回りの動植物も気象の変化に戸惑っているようです。この秋のヒガンバナやキンモクセイの開花は1週間から10日以上も遅く感じました。こうしたとき生物季節観測の重要性を思い出します。

 9月末に、帯広にある「六花亭アートビレッジ」へ行きました。カシワ一斉林の中に小さな美術館が点在している素敵な場所ですが、木々の葉は青々とし、まだまだ夏の盛りのよう。以前ならもう黄葉が始まっていたのじゃないかしら。

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9月28日 「六花亭アートビレッジ」の森

 ところが、ネットを調べるとこんな記事(生物季節観測、廃止・縮小から一転存続へ 気象庁と環境省、国立環境研究所がタッグを組む(森田正光) - エキスパート - Yahoo!ニュース)がありました。なるほどと思ったのもつかの間、どこが観測を行いどこで公表しているのか何もわかりません。なんとも話は尻つぼみです。

 こんなことを書きながら10月に入ったら、関東では気温の上がり下がりが急激に。植物だけでなく動物の皆様、体調を崩しませぬように。

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同じくアートビレッジ 棚の手前はブドウ、奥はホップ

(運営委員・井上 康)

2024年10月 3日 (木)

安全のための・・・

近くのマンションの木々が皆伐された風景にようやく慣れてきたかと思ったら、銀行ATMの隣りの桝に植えられていたそこそこ大きなアオギリの木が根元からすとんとなくなっていた。そういえば、先日倒れてきた木に挟まれて亡くなった方がいたんだっけ。それが理由かはわからないけれど、たぶん、危険だから、倒れたら責任が取れないから、という理由で、これから、街路樹や公園・残っている緑の伐採圧が高まり、同じようなことが至る所で起こるのだろうな。と思う。

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そして、このところ毎日のように聞く、気候変動による想定外の天候を考慮すると、「安全のために」という錦の御旗に反旗を翻すことはなかなかに難しくなるに違いない。

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それにしてもこの錦の御旗、これを唱えられるとたいていの人は何も言えなくなるのではないか。さらに「子供たちの」がついたらもう絶対である。そうしているうちに、街がコンクリートだらけになっていく。

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本当に危険なものは対応が必要だが、そこで思考停止をしない方策が必要ではないか。目の前の些細な危険を排除しつくしたら、実はもっと恐ろしい別な危険が待っている可能性だってあるのだから。(運営委員・小黒伸也)

2024年9月15日 (日)

福島第一原発2号機燃料デブリ取り出しと廃炉はいつ完了するのか?

    8月22日、福島第一原発2号機の溶け落ちた核燃料デブリの取り出しが開始されるはずだった。しかし、人為的ミスで延期。2週間かけて3グラム取り出す予定が延期された。そして、9月10日に再び開始された。溶け落ちた燃料デブリは880トンとされ、東電は今も廃炉まで30~40年と言い続けている。2週間で3グラムずつ順調に進んだとして、1,150年以上かかる計算になる。これでは廃炉完了は夢のまた夢ではないか。

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    一方で、原発被災地周辺の復興に目を向けると、人口減少の加速化や少子高齢化が急速に進んでいる。原発事故前と現在の人口を比べると、南相馬市75%、浪江町8%、双葉町5%、大熊町4%等の現状にある。

「福島の復興なくして日本の再生なし」と野田総理から安倍、菅、岸田まで言い続けてきたが「福島の復興」はいつになるのか?「怒り」を通り越して「諦め」感の中にあるのが被災地福島の現状ではないか。

    現在、自民党総裁選挙、立憲民主党代表選挙が行われている。この中で「福島の復興」、「福島第一原発の廃炉」については誰も触れていない。日本の政治家の無責任さと無作為さを感じる。

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    日本の政治家よ、ドイツの政治家を見習え!

(運営委員会代表・櫻井勝延)

2024年9月10日 (火)

「気候変動関連死」のリスクを下げる市民の力

 先月は足尾・松木渓谷入口にある「みちくさ」で、今月は一昨日の深夜に体験した一時間に100㍉もの大雨の恐怖。足尾では土砂で簡易ハウスが流されるのではないかとビビり、自宅では草木が踏ん張って土砂流出を起きないように祈った。20240910 9月に入っても猛暑日で熱中症に注意する日々が続き、同時に、局地的な大雨災害にも注意しなければならない日々が続く。日本各地は日本海と太平洋からは温かい大量の水蒸気を含んだ雲が陸地に流れ、山にぶつかり、寒気に冷やされ大雨になっている。その気ままな雲の動きでビビったり、森の力に頼って災害から逃れたい私。暑さは農漁業にも被害をもたらし、弱者の食生活をも苦しめている。台風シーズンのなかにあって、今までのような生活観でいられなくなった。202409105 夜(9/10)、「クローズアップ現代」いうTV番組を観た。感じたことは、気候変動関連死のリスクは弱者や低所得者が高いということ。リスクを低くするためには、①正しい情報をつかみ拡げる②共有した情報を基に声をあげて、リスクを減らす目的を実現させるアクションを起こす③その力を借りて私たち生活をも見直す④この市民運動が世界の海水温度を下げていく「地球びと」のうねりとなる“希望の松明”を掲げよう、ということであった。20240910_2 誰もが感じていることは、一時間に100㍉以上の大雨の勢いは人間力で防げるという考えは通用しなくなったことではないか。自然界の猛威には逆らうのではなく、「いなす」という先人の知恵が役に立つ時代がやってきた。台風10号が教えてくれたことはコンクリートだらけの都市や街では先人のその知恵も活かされないようだ。目先きだけの備えたけではいのちを縮める結果につながっていくということが見えてきた。 (森びとアドバイザー・高橋佳夫)