アクセスランキング

« 2025年2月 | メイン | 2025年4月 »

2025年3月21日 (金)

気候危機に向き合う生活を考える

 2024年末から日本海側や山沿いを中心に最強の寒波が襲い大雪を降らせました。北海道帯広市では半日で120㎝の降雪があり、青森、山形、新潟、長野、福島、福井、富山、石川各県で、屋根や家の周りの雪かきを行う住民が転落や落雪に埋もれ死亡する痛ましい事故が発生しました。能登半島地震と豪雨被害を受けた被災地では豪雪による家屋の倒壊、福島県では雪崩による孤立など、命と暮らしが脅かされている状況です。

500

 一方の太平洋側では、2月26日に岩手県大船渡市で山林火災が発生。油分の多いスギ・マツ林が燃え広がり、県外からの消防署の応援や自衛隊の消火活動によって発生から12日目の3月9日鎮圧状態が発表。それまでの焼失面積は市の面積の約9%にあたる約2900ヘクタールと広範囲に及び、死者1人、210棟が焼失、約4500人に避難指示が出されました。

 1日も早い暮らしの復興と「いのちの森」の再生を願うばかりです。

500_2

(2025.3.17岩手日報より)

 地球温暖化によって海面水温が上昇し増加した水蒸気が、夏は豪雨被害をもたらし、冬は偏西風の蛇行による寒気の影響で豪雪をもたらしています。また、太平洋では降雨が極端に減り水蒸気の増加が表土の乾燥をもたらしました。大船渡市の2月の降雨量は2.5ミリと平年の41ミリを大幅に下回り、燃えだした火が強風によって延焼し大規模山林火災につながったと伝えられています。

 消火に当たった消防署員は、「消しても消してもまだ山奥に火が見える」「根っこまで炎が入り込むと根を伝ってまた別なところから炎が出る。根を切ってその木を倒して消火する必要がある」と、専用のチェーンソーで根を切って延焼を抑えていると、消火の困難さを伝えています。(3/18岩手放送)

2025227500

 林床の落ち葉が燃え広がっている印象が強かった筆者は、木々は根に水を溜めており火災の後でも新たな枝を伸ばすと思っていただけに、根を伝って火が広がるという現実にショックを受けました。

 日本各地で発生する山火事は、戦後復興の計画造林で植えられた杉、松の森が多く、土壌の乾燥ばかりでなく木の幹自体も乾燥、油分を含む落ち葉は着火材に使われるほど燃えやすい場所で発生しているようです。

 私たちが「地球温暖化にブレーキをかけよう!」と足尾の荒廃地での森づくりを開始して20年になります。銅の精錬過程で排出された亜硫酸ガスによる煙害と山火事によって木々を失った足尾銅山跡地には小さな森が育ち、シカやサル、アナグマやツキノワグマなどの動物、鳥や昆虫、ヤマユリやスミレなど森の仲間が増え、「いのちを育む森」へと生長しています。

500_3

 生物社会の一員でしかない私たち人間は森に寄生してしか生きられない存在だという冷厳な事実を認識しなければなりません。

 森林の再生に向けて政府や林野庁、地主の皆さん、行政で話し合いが持たれると思いますが、市民の声にも耳を傾けていただき、かつて森の主役であった深根性・直根性の常緑・落葉広葉樹を植えて、その土地本来のふるさとの木による「いのちの森」を再生して欲しいと願います。

500_4

 気候変動による異常気象が世界中に被害をもたらす中で、暮らしと命を守るために、私たちは何をなすべきか。4月20日、生活現場と労働現場からの報告をいただき、若者、農家、労働者、市民の皆さんと意見交換を行う「気候危機に向き合う生活を考えるシンポジウム」を開催し、自然界からの警告に耳を傾け考えていきます。

◇開催日:2025年4月20日(日)13:30~16:00

◇会 場:目黒さつきビル2階会議室、及び、Zoomによるオンライン形式

◇申し込み:氏名、電話番号、会場、E-mail(Zoomでの参加の場合)を記入し、FAX:03-3491-7194、または、メール:moridukuri@jigyou-kyoukai.orgまでお申し込みください。

500_6

(運営委員:清水 卓)

 

2025年3月 1日 (土)

本気の本気で森づくりに取り組む!

 2/25、約1か月ぶりの森作業集中日に参加しました。(詳細はHPの森びとブログをご覧ください。)
 ひと月空いたのは、前回の作業日(2/9)に、足尾・松木郷も大雪に見舞われ、安全第一を優先し作業中止の判断をせざるを得なかったからです。この大雪は、南米海域がラニーニャ現象で高温になり、影響を受ける対馬海流が日本海の水温を上げ、大量の水蒸気を発生、北極からの最強寒波に冷やさ
れ、記録的な大雪をもたらしたようです。加えて、長期間の同じ地域への降雪は、夏によく発生する「線状降水帯」が冬に起きているという事です。大雪は、各地でホワイトアウトによる交通事故、鉄道の混乱、雪下ろし中の落下や雪の下敷き等、多数の事故により尊い命が奪われ、高齢世帯では生活が困窮する事態に見舞われました。

2 また、気象庁は「今夏、気温は平年より高い予想・・・『また猛暑』となる見込み」と発表しました。大雪に関連する犠牲者に加え、熱中症による死亡も想定される猛暑の再来は、特に高齢者等、社会的弱者に犠牲を強いることになります。長年、健康に留意しつつ社会に貢献されてきた方々が、雪に埋もれて人生の最後を迎えるなどあってはならない。大雪で先が見えない中、不安に苛まれながらの運転、そして事故などあってはならない。何とか、気候崩壊を克服しなければならない。 

1 森は、温室効果ガスである二酸化炭素を吸収し、人間にとって必須である酸素を供給することに加え、大雨時にダムとして機能し、土砂流出を防止し、真夏の気温を低下させ、多くの動植物の生活の場となるなど、地球環境保全機能を備えています。地球環境を維持し、激甚化する自然災害から「命」を守り、子や孫に繋いでいくためには、「森」の育成が絶対的に必要だということです。ここまで地球を危機的状況に追い込んでしまった私たち人間が、何を成すべきか。まさに20年前の先達の先見性が如何に優れていたか。スタッフが森に学び、積み上げてきた20年の森づくりが如何に正しかったか。そしてこれからの20年、森に学びながら森づくりを実践し、自立して生長していける本物の森=母なる森になるよう、一つ一つの活動を積み上げていかなければならない。身体を動かすことが好きな私は、65歳で退職後老化防止のために森づくりのお手伝いをする感覚で、森びとプロジェクトに関わろうとしていました。しかし、老化防止云々と言ったレベルで本物の森は作れないし、失礼であると思った。

3 本気の本気で森づくりに取り組み、学んだことを発信し、足尾・松木郷の森を自立的に生長できる森へ育て、「次世代の担い手」に引き継ぐべく、これからの20年を頑張らなければ、この危機は克服できない。足尾の大雪を目の当たりにし、そして運営委員2年目にして、その責任の重さを再認識させられました。まずは、自分の心に木を植えなければならない。(運営委員・田城 郁)