加勢の“恩返し”石に名前刻む!
先日、足尾の森作業後に参加者の皆さんと「エコ散歩in足尾」ついての話し合いをしました。
2005年、地球温暖化に少しでもブレーキをかけたいと願う会員・ボランティアの皆さんと「臼沢」の斜面に植樹を行い、以降、緩斜面の植樹地に「松木の杜」「新松木の杜」「民集の杜」と名前をつけ森づくりを行ってきました。現在は草刈りや枝払い、獣害柵点検・修繕など育樹活動が中心となっています。会員や多くのボランティアの皆さんと育ててきた森・杜の生長を観察していただく準備を進めています。
緩斜面の杜の名称を「民集の杜」に統一し、各杜(北、東、西)の入り口に「民集の杜 北」「民集の杜 東」などと刻んだ石の銘板を設置することにしました。
杜の入口に置く銘板は、緩斜面にゴロゴロと転がり草の中に露出している石を使わせていただきます。設置には山田組様の協力をいただきました。
松木の杜から臼沢の森を眺めると窪んだ急斜面に木々が密集し、宮脇昭先生に教えられた“混植・密植で木々が競争し我慢”、そして、楽しそうに共生する、そんな森の様子を感じました。「この荒廃地で森がつくられれば世界のどこでも森が出来る」と宮脇先生が立った地は18年経ち、芽吹く前の森ですが、風が吹けば木々がなびきハーモニーを奏でるようです。
緩斜面に石が堆積していますが、ミズナラやコナラ、ブナなどが足尾の山に生い茂っていた時代は地中深くに静かに佇んでいたと思います。銅の精錬のため樹木が伐られ、亜硫酸ガスや山火事によって大きな石を押さえていた森林と表土が無くなり、緩斜面に転がり落ちてきたのだろうなと草地の岩に目を向けました。
実際に、臼沢の森では、所どころで大きな石を木の根元で止めているのを観ることができます。この臼沢の森や民集の杜には、シカやサル、クマ、チョウやカミキリムシなど、いろんな生き物を見かけるようになりました。また、ネムノキやヤマナラシ、ヤマユリやスミレなど、植えた樹種以外の木や草花が森の仲間になっています。風や鳥、動物、アリなど、森に生きる「仲間たち」が私たちの森づくりに加勢してくれます。
地中に眠っていた石が今私たちの足元で風雨にさらされています。この石たちも松木村廃村の歴史を見続けてきたのではないかと想像すると、石碑に名を刻む手も震えます。
松木村廃村から120年、豊かな森に囲まれ、森に寄り添い生きてきた村民の“想い“を胸に、森への“恩返し”として石碑の字掘りを行います。少しぐらい失敗しても、私たちの「山と心に木を植える」森づくりの想いが観察に来た人たちに伝われば良いのではないかと思います。森に畏敬の念を持ち、石碑に名を刻むという事の意味を大事にしていきたいと願っています。
(運営委員・大野昭彦)