気候変動対策への国連事務総長の熱意に応えたい
「化石燃料業界の多くはロビー活動や法的な脅し、大量の広告キャンペーンで気候変動対策を遅らせようとする一方で、恥知らずにもグリーンウオッシュ(環境に配慮していると見せかける)を行ってきた」と強烈に業界の広告戦略を批判しているのは国連事務総長(6/17『毎日新聞』)。この記事を読んで、気候変動対策を訴え続けている事務総長の熱意にどう応えるのか。難しいことや大きなことはできないが、20年間の森づくりで学んできたことは発信できる。
そのひとつは、私たちは森に寄り添って生きているという現実を体感することから始まると思う。例えば、「植物は光に向かって動き、植物は生涯に渡りずっと生長し続け、変化していく周囲の環境と調和し、途方もない形態をつくる。また、体内組織の水分を調整することによって体の堅さを変え、言語なしでもコミュニケーションが可能だ。その方法は化学物質を放出したり、他の生物(細菌、菌類、動物)と関係をも築く。地中では化学物質を放出して樹々の防衛機構を作動させる。菌糸と根は養分と糖分を分かち合っている」という研究結果を、森を散歩しながら体感してみることができる。
ちなみに、樹々のパワーのひとつに人体の自然免疫力を高められることも研究済みである。森林浴の効果のひとつに、ナチュラルキラー細胞によって体内のウイルス等を退治する機能が高まるという。
参考資料:『ロボット学者、植物に学ぶ』著者バルバラ・マッツォライ、白揚社
(森びとアドバイザー・高橋佳夫)