気候変動対策は待ったなし!天空の森から岸井さんの声が聞こえる。
2004年12月10日、NPO法人森びとプロジェクト委員会を立ち上げ理事長として「森づくり」を牽引。環境問題や政治の劣化に対してジャーナリズムの精神をもって声を上げてきた岸井成格さんが「天空の森」に旅立って早や5年(2018年5月15日逝去)になります。
命日前の5月13日、コロナ禍で控えてきたお墓参りに行こうと、岸井さんの好きだった日本酒(純米酒)を抱えて電車に乗り多磨霊園へ向かいました。
5月5日に松井さん、岩田さん、阿部さんら東京都ファンクラブの皆さんが草刈り、サルスベリの伸びた枝の選定をしてくれたので、墓石の周りは綺麗になっていました。ありがとうございました。小雨が降り出しましたが、伸びはじめた“どくだみ”の小さな葉を摘みながら、天空の岸井さんとの会話を楽しみました。
お墓に日本酒と栗饅頭をお供えし合掌。18年前に足尾の荒廃地に植えた苗木は、沢山の生き物が暮らす森に育ったことや、岸井さんが危惧した地球温暖化は世界中に被害を及ぼし、気候危機という認識に進んでいることなど墓石に向かって語りかけました。
「知ってるよ。それで、どうするんだ!」と叱咤されているような気持ちにもなりましたが、「5月27日に温暖化の被害を受ける農家や漁業従事者、体温を超える気温下で働く労働者、未来を生きる若者の声を聞くシンポジウムを開催するので、岸井さんも天空からオンラインで参加してください」とお願いしました。
多磨霊園内はスダジイやカシノキ、ケヤキ、モミジ、マツなどの巨木に覆われ、木の下に潜ると雨宿りができました。何年生きているのだろうと携帯電話のネット検索で歴史を調べると、1923年に開園しているので開園時に植えられた樹は100年になります。その間には東京大空襲もあり、東京都内に残る自然教育園や神宮の森、外苑の銀杏も「無言の語り木」と言えるのではないだろうかと思いました。
先人の眠る神聖な森の中に留まっていると樹々たちの会話が聴こえてくるようです。「経済ばかり追い求めた結果が今人間たちに返って来ている。若者たちの未来のために森と生きる暮らしに立ち返れ」と。
「政治も自然環境も、そして市民のパワーも“劣化”させてはならない」と地球と人間の未来を案じた岸井さん。4月29日に足尾町・中倉山の尾根の南斜面に「孤高のブナ」のDNAを持つ幼木を植え「希望のブナ」と名付けました。そこには10代の高校生から80代のシニア、海外からの留学生、日光森林管理署署長を含め41名が参加をしてくれました。
岸井さんが蒔いた「森びと」の種が大きく育ち、煙害、風雪に耐え抜き生きる「孤高のブナ」のパワーと共に森びとの輪が広がっています。「気候変動対策は待ったなし!」、多くの“森とも”の皆さんと手を携え希望の“たいまつ”を燃やし続けていきます。
(運営委員 清水卓)
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