草の根運動の先駆者から学ぶ
森びとでは、4月6日に一般社団法人日本鉄道福祉事業協会との共催で「原発回帰と気候変動に向き合う生活を考える」意見交換会を開催しました。メインは科学ジャーナリストの倉澤治雄さんから原発総体を考える問題提起をいただくともに、今年1月1日に発生した能登半島地震で被災にあわれた塚本真如さんにビデオメッセージを受けて意見交換することでした。塚本さんのことで言えば、2月の新聞記事で1975年に珠洲市で原発建設計画が持ち上がり、2003年に建設の中止するまでの28年間の闘いを指導してこられ、今回の地震を受けて、見知らぬ人から当時の(珠洲市での)原発建設反対の闘いに感謝するメッセージが寄せられたことが掲載されていました。新聞社を通じて塚本さんを紹介していただき、話を聞くことができる機会をえました。
塚本さんは1月12日まで道路や携帯の電波が遮断されていた中におり、もし停止中の志賀原発が稼働していたら、海に逃げなくてはならなかったということだったのかもしれません。印象的な言葉として「日本人は(原発事故を)すぐに忘れてしまう。他人事」「はっきりとNOを言わない人が多い」「子や孫の世代に胸を張れる生き方をしなければならない」と言っていました。意見交換会での倉澤さんの写真で塚本さんの取材をされた様子が掲載されていました。3.11から13年が経ち、政府は原発を稼働させようと躍起になっています。この間の歴史を見ると、嫌らしいことに経済的に厳しい自治体の弱みに付け込んで原発の建設や核のゴミの受け入れを認めさせるやり方がまかり通っています。
政治家や行政への批判は最もですが、同時に市民である私たちが自分たちの場でのいのちと生活を守るための運動づくりが大切であることを塚本さんたちの闘いで学ぶことができました。来月になってしまいますが、珠洲市や志賀町を訪れ、私たちに何ができるのだろうか掴んで発信したいと思います。
最後に紹介したい本があります。桂書房さんから発刊されている『ためされた地方自治』です。是非、ご一読下さい。(運営委員・小林敬)