「想定外!」は人間だけの都合
1月中旬の足尾・松木郷の森
明日は立春。今年の立春は例年のような気持ちにはなれません。昨年末、この欄で「誰もが経験したことのない気象現象の今後は想定外の災害と被害を巻き起こすことになるのではないかと予測しなくてはならない」と投稿しました。今年元旦の能登半島地震では地盤が4㍍も隆起し、4.4平方㌔が陸になってしまいました。活断層の動きは2年前から情報発信されていましたが、地震専門家や研究者も「想定外」であったといいます。この地球上で命と健康を守っていくためには今後も「想定外」の事象は起こるということを大前提にしなければならないことを実感しています。
能登半島地震では色々と考えさせられることが多くあると感じています。そのひとつが、道路寸断・停電・断水・通信不能等での避難者への救援策の在り方です。避難状況の厳しさや救援の後手後手の要因は「地域性」と言われていますが、崖を削って造った道路は地震や大雨が降れば土砂流出・崩壊するのは想定内です。また、志賀町の原発ではトラブルが起きました。しかし、事前の備えとして政府・中央地方行政、そして一般市民の私たちは原発事故発生時の道路寸断での避難路は確保していたと言えるのでしょうか。ビニールハウスで自主避難していた高齢者の様子をニュースで観て、政府・地方行政は「想定外」と言いきれるのでしょうか。半島の高齢化集落の県民・市民の命と健康を守る生活実態把握とその対策を検証しなければならないと思っています。 一都8県の森びと「シニア達は地域の方々との出会いの場をつくりだし、森の手入れの合間に異常気象に向き合う心得や備えを地域の方々と話し合ってきた」こともこの欄で紹介してきました。振り返ってみると、この活動はとても大切であり、これからも地域に広めていかなくてはならないと感じています。立春から啓蟄を迎えると森づくり活動が本格的に始動します。森に寄り添って生きる生活の「心得」と「備え」が将来社会の常識になっていくことを祈っています。命と健康が維持されている現実にソッポを向かずに、まずは、自分のために、任意団体からすれば森びと会員のために、“山と心に木を植える”活動を楽しく創り出していきたいと思います。
最後に、能登半島地震でお亡くなりになった方々のご冥福をお祈りするとともに、被害にあわれた方々へ心よりお見舞い申し上げます。(アドバイザー・高橋佳夫)
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