アクセスランキング

« 2023年1月 | メイン | 2023年3月 »

2023年2月23日 (木)

明日は、足尾銅山が閉山して50年

 明日(2/24)、足尾銅山が閉山して半世紀を迎える。当時の銅山労働者や生活が潤っていた企業城下町の町民にとっては様々な想い出があると思う。私にとっては、1990年後半から始めた足尾の歴史を学ぶ研修から現在も続けている足尾の森づくりを数えると、足尾町にお世話になって30年ほどが経つ。Dscn0377 足尾町での想い出は語りつくせないが、私は、よく言われている負の遺産をそれとして遺すだけではなく、未来を生きる私たちの財産に遺していくことを大切にしている。Pc194146 東京都から九州地方まであると言われている長い坑道に滲みこむ水はそのまま渡良瀬川に流せない。現在も、古河機械金属㈱がその水を中和させている。水は私たちに欠かせない大切な自然の恵み。反面、大雨は濁流となって、人や家、木々や農作物を流して生活を脅かした。自然界の恵みに感謝する気持ちを忘れて亜硫酸ガスを排出してきた歴史は、命を守る循環システムの母体である森をハゲ山にした。Dscn0080  重金属が多く含んだ荒廃地を、人が手入れをすると、全ての生き物の命を守る草木が育ち、その恵みを吸収する生きもたちの社会が築かれる。何もしないと、半世紀以上経ってもヘビノネコザ等しか生えない。P1272617

 生活が潤っていたと言われている足尾町民の陰には、鉱山労働者の健康と生活を守る戦い、銅山の操業停止を求めた農民の闘い、さらには戦争政策の犠牲になった中国人や朝鮮人の苦痛の叫びがあり、その背後には富国強兵をすすめた政治家と一部経済人がいた歴史を忘れてはならない。(顧問 高橋佳夫)

2023年2月15日 (水)

「新しい林業」に働く人の未来

 昨年10月のこの欄に「新しい林業」経営モデル実証事業のことを書きました。事業の具体的なことは、林野庁のホームページを見ていただければと思いますが、この事業では、大学の研究者をはじめとする有識者に集まっていただき、新しい取組みにチャレンジする12のグループを選定し、3か年で一定の結果をまとめることになっています。

 「森びと」のページに来ている皆さんは、林業をどのような仕事だと捉えていますか?私の若いころ、林業は代表的な「3K(きつい、汚い、危険)」職場といわれ、なかなか人の来てくれない仕事といわれていました。もちろん今でも他の産業に比べて楽な仕事とはいいがたいのですが、それでもいろいろな機械化が進み、日本各地に「林業大学校」ができ、女性や若い人の参入も進んでいます。

1

「ハーベスタ」という立ち木を伐採し丸太を作る機械。もちろん女性でも使えます

 モノづくりにたずさわっている人達はよく自分の作ったものが将来残っていくのがうれしいといいます。「森びと」の植林活動に参加している皆さんも、自分の植えた木が育つ喜びは十分承知のことでしょう。私自身も若いころ植林した北海道のカラマツ林で30年後に間伐作業の行われているのを見て、大きな喜びを感じたことがあります。より多くの人が、林業に携わり、こうした満足を得られるようになればいいなと思います。「新しい林業」では、これからの人たちにもっと魅力のある林業を提示することも一つの目標です。今回は「職業」としての林業のことをちょっと書いてみました。

(運営委員 井上康)

2

帯広の近く浦幌町にある私有林。トドマツを主体とした針広混交の人工林