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2023年7月 1日 (土)

未来を守るために連帯していこう!

 5月27日に開催した地球環境危機下で「いかに生きるか」を考えるシンポジウムにパネラーとして参加をいただいた横須賀火力発電所建設を考える会代表の鈴木陸郎さんが団長となり、JERA(中部電力と東京電力ホールディングスが共同出資する発電会社)が計画した横須賀火力発電所1‐2号機の建設中止を求めて市民が国に計画中止を求めて訴訟を起こして闘っています。今年1月に行われた東京地裁での第一審では、原告らの請求を棄却する不当な判決が出され、すぐさま控訴をしました。

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 そのような中、昨日6月30日にJERAは第1号機の営業運転を開始し、来年には2号機の運転が予定しています。世界中で気候変動は深刻化し、生存の危機を身近に感じる昨今、CO2排出を抑えることを世界の潮流ですが、年間726万トンものCO2を排出する石炭火力発電所の稼働はあり得ません。

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 今月21日には東京高裁101号法廷で第1回控訴審(10:30~)が行われます。政府は2050年までにカーボンニュートラルの宣言、横須賀市も2050年までにゼロカーボンシティを宣言していますが、言っていることとやっていることが180度違います。明治神宮外苑再開発での大量の木の伐採問題と共通しているのは、地元の反対の声を聞かず、企業等一部恩恵を受けるもののために経済優先が貫かれていることであり、地元住民にとってメリットはありません。横須賀市だけではなく私たちの問題であり、未来への責任です。近隣のファンクラブと連携をして原告団と一緒に闘っていきたいと思います。

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(運営委員 小林敬)

2023年6月 1日 (木)

私が影響を受けた『マイナス成長の経済学』

 前2回は私が仕事として携わっている「新しい林業」について紹介してきましたが、今回は少し趣向を変えて本の紹介をしたいと思います。私の本棚にあったのを最近再読しました。かなり古い本でして、奥付を見ると昭和62年11月30日発行。35年ほど前の本です。私自身のことをいえば友人と50ccのバイクレースに興じていたころですね(懐かしい)。著者の室田さんはこれも奥付によると一橋大学経済学部教授(数量経済分析)となっており、ウィキでみると2019年にお亡くなりになりました(合掌)。

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 内容は、戦後日本経済の発展をエネルギー革命(薪炭→石炭→石油→原子力)の流れと主に自給で成り立っていた地域経済の崩壊を論じた第1部、原子力発電の経済性(不経済性)を論じた第2部、エコノミクスとエコシステムとエコロジーを論じた第3部からなっています。文章は結構読みやすい。ただし、35年前のものなので、例えば国の景気を判断する指標が現在のGDPではなくGNPであったりしますが、内容が間違っているというほどの影響はないように思います。

 第1部で興味を惹かれるのはやはり燃料革命と山村・林業の変化、いわゆる拡大造林(広葉樹の山をスギ、ヒノキ、カラマツへ転換)が経済的にどのような流れで行われたのか、高度経済成長の中で農産物や林産物の輸入を拡大せざるを得なかった流れなどが、わかりやすく説明されているところ。

 第2部は原子力発電がどういう位置づけで日本に導入されたのかから始まります。一番驚かされたのは、火力発電では1単位の電気エネルギーをつくるのに3単位の石油エネルギーを使うのに対し、原子力発電では核分裂による熱エネルギー3単位に加え3単位の石油エネルギーが必要(ウラン235の精製や放射性廃棄物の保管を考慮すると)という試算がされていること。結局、今の福島でおきていること、フィンランドの放射性廃棄物最終処分場「オンカロ」のことなどを考えると、原子力発電はものすごく不経済だという事実が明らかにされています。

 第3部ではエントロピーの概念を紹介しながら、水を中心とした地球の循環システムについて解説されており、なるほどこのために地球が温暖化すると降雨が激しくなるんだなと納得しました。

 若い頃に読んで、かなり影響を受けた本です。もしよろしければ先着1名の方にプレゼント(送付)します。希望される方は森びと事務所の小林あてに送付先住所氏名を明記してメールもしくは電話して下さい。ただし古い本なので、かなり寄れていますご容赦ください。

(運営委員・井上康)

2023年5月15日 (月)

気候変動対策は待ったなし!天空の森から岸井さんの声が聞こえる。

 2004年12月10日、NPO法人森びとプロジェクト委員会を立ち上げ理事長として「森づくり」を牽引。環境問題や政治の劣化に対してジャーナリズムの精神をもって声を上げてきた岸井成格さんが「天空の森」に旅立って早や5年(2018年5月15日逝去)になります。

 命日前の5月13日、コロナ禍で控えてきたお墓参りに行こうと、岸井さんの好きだった日本酒(純米酒)を抱えて電車に乗り多磨霊園へ向かいました。

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 5月5日に松井さん、岩田さん、阿部さんら東京都ファンクラブの皆さんが草刈り、サルスベリの伸びた枝の選定をしてくれたので、墓石の周りは綺麗になっていました。ありがとうございました。小雨が降り出しましたが、伸びはじめた“どくだみ”の小さな葉を摘みながら、天空の岸井さんとの会話を楽しみました。

 お墓に日本酒と栗饅頭をお供えし合掌。18年前に足尾の荒廃地に植えた苗木は、沢山の生き物が暮らす森に育ったことや、岸井さんが危惧した地球温暖化は世界中に被害を及ぼし、気候危機という認識に進んでいることなど墓石に向かって語りかけました。

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 「知ってるよ。それで、どうするんだ!」と叱咤されているような気持ちにもなりましたが、「5月27日に温暖化の被害を受ける農家や漁業従事者、体温を超える気温下で働く労働者、未来を生きる若者の声を聞くシンポジウムを開催するので、岸井さんも天空からオンラインで参加してください」とお願いしました。

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 多磨霊園内はスダジイやカシノキ、ケヤキ、モミジ、マツなどの巨木に覆われ、木の下に潜ると雨宿りができました。何年生きているのだろうと携帯電話のネット検索で歴史を調べると、1923年に開園しているので開園時に植えられた樹は100年になります。その間には東京大空襲もあり、東京都内に残る自然教育園や神宮の森、外苑の銀杏も「無言の語り木」と言えるのではないだろうかと思いました。

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 先人の眠る神聖な森の中に留まっていると樹々たちの会話が聴こえてくるようです。「経済ばかり追い求めた結果が今人間たちに返って来ている。若者たちの未来のために森と生きる暮らしに立ち返れ」と。

 「政治も自然環境も、そして市民のパワーも“劣化”させてはならない」と地球と人間の未来を案じた岸井さん。4月29日に足尾町・中倉山の尾根の南斜面に「孤高のブナ」のDNAを持つ幼木を植え「希望のブナ」と名付けました。そこには10代の高校生から80代のシニア、海外からの留学生、日光森林管理署署長を含め41名が参加をしてくれました。

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 岸井さんが蒔いた「森びと」の種が大きく育ち、煙害、風雪に耐え抜き生きる「孤高のブナ」のパワーと共に森びとの輪が広がっています。「気候変動対策は待ったなし!」、多くの“森とも”の皆さんと手を携え希望の“たいまつ”を燃やし続けていきます。

(運営委員 清水卓)

2023年5月14日 (日)

“森びと”の心に木を植えてくれた青木淳一先生

 Photo  今日は青木淳一先生の「お別れ会」に出席してきました。お別れ会の世話人代表は森びとプロジェクトアドバイザーの島野智之さん(法政大教授)が努め、会には北海道から沖縄の皆さんが集っていました。同席した中村幸人さん(森びとアドバイザー)と私は青木先生が歩んでこられたダニの研究とその情熱を心に刻むことができました。最後に、生前の青木先生から仲間たちに伝えて欲しいことを奥様から紹介されました。

Photo_2  以下、『青木淳一先生追悼文集』に投稿した私の感謝の気持ちを紹介させていただきます。

Photo_4 青木淳一先生! 森の下に「もうひとつ」の森があることを教えてくださってありがとうございました。その「もうひとつ」の森には肉眼では見えづらい生きものたちが、上の森の生物に欠かせない生存土台をつくっていました。この様な現実に支えられて生きている己ということを考えたことがなかった私からすれば、先生にお会いした時は目から鱗であり、リタイヤ後の限られた人生を歩む世界を拡げてくれました。とても嬉しく思っています。

 それまでの私は労働組合運動を通して様々な社会悪と対峙していた時期がありました。その当時は、己が生存している冷厳な現実を深掘りするということは頭の片隅にもありませんでした。振り返ってみれば、社会運動を推進していく場合においても、生活現場や労働現場に起きている事象に向き合うにしても、私たちが生存していることと社会システムの関連に向き合っていかなければならないと思っています。当時の右肩上がりの経済成長期では、木を伐り、山を削り、コンクリートで工場や高速道路、そして鉄筋住宅を造り、そのための燃料は化石燃料を燃やして大量生産・大量消費・大量廃棄の社会をつくりだしました。それは、自然環境への多大な負荷のかけ過ぎを招き、新型コロナ感染と気候変動による「複合災害」の社会を迎えてしまうのではないかという不安は微塵もありませんでした。

 3年前から世界の人々が初体験している新型コロナ感染と気候変動による「複合災害」禍に生きている私にとって、青木先生との出会いは、私の将来世代の人間社会を描き実現していく“希望の灯”の基礎になり、この灯は消さないようにしていきます。

 青木先生は、「人類にとって大切なことは、生態系の中で生産者の主役を務めている樹木にまず敬意を表し、普段は地面の下にいて目に触れない分解者の働きに思いを馳せ、自分たちはこの両者に生かされている消費者であることを自覚することである。消費者の中では例外的に強い力を持ってしまった人類は、生産者である森を破壊することもできるようになってしまったが、同時にまた、森を守り、創造する力をも与えられているのである。」と述べていました。このことは、人間社会の礎に据えなければならないと思っています。

 これからの社会を生きるために、私の心の中には「自然の恵みはほどほどに消費する」、「天然資源は独占・支配してはならない」、「人は森の手入れをする責務がある」というスローガンを掲げることができました。衷心から感謝申し上げます。 

 先生は、デパート屋上のコンクリートの割れ目、赤坂の森、明治神宮の森、石垣島の森、会津の森、そして栃木県日光市の足尾銅山跡の荒廃地と岩手県八幡平市の松尾鉱山跡地の荒廃地に立ち、枯葉や土を新聞紙に包み、段ボール箱に入れ、それを自宅に運び、時間をかけて生きものたちを観察してくれました。その過程では、先生は私たちを自宅に招いてくださり、観察とその整理の様子を私たちに見せてくれました。ときには、何十年間もの観察資料の原本を見せていただきましたが、そのひとつひとつ、一枚一枚が先生の人生そのものではないかと感じました。

 森の下の森の友だちはダニ、ミミズ、ワラジムシ等の地中の生きものでした。しかし、多くの方々はその生きものを敬遠し、肉眼では見えづらいこともあって、先生の言う「普段は地面の下にいて目に触れない分解者の働きに思いを馳せ、自分たちはこの両者に生かされている消費者であることを自覚する」ことはとても難しいことであると思います。

 そんなこともあって先生は、顕微鏡や虫メガネで観たササラダニを精密に拡大描写するという根気のいる観察調査を生涯の仕事にしていたのではないかと思っています。大きく描写されたササラダニたちのスケッチを見せていただくと、なんとなくスケッチにホッとしますので不思議なものです。森の下の森の友だちを大切にしてほしいと願っていた先生の繊細な一本一本の線には、そのような思いが通っているようでした。また、先生は、森の妖精が大好きでした。足尾では、子供たちと森を歩きながら森には妖精がいることを話してくれました。奥日光の森で会った妖精の話をした後、子供たちが妖精を描いている様子を見ている先生の笑顔が忘れられません。

旅立たれた今、私は、天空の森で妖精にお会いしてる青木先生を思い浮かべています。先生!天空の森で私たちの森づくり活動を見守っていてください。

 今年、足尾銅山が閉山して50年目を迎えました。2年後の2025年は、足尾銅山の操業150年迎えます。煙害や山火事でハゲ山になった荒廃地は国や県が本格的に始めた治山・緑化事業から半世紀が経ちました。しかし、足尾ダムから松木川上流に向かって3時間ほど歩いていくと、岩肌がむき出しになっている山が連なっています。この地に雷雨が襲うと、1時間も経たないうちに松木川の水は赤茶色に変わり、その勢いはしり込みするほどの恐ろしさを感じます。

 この地は、強い力を持ってしまった消費者である人間の公害の原点(「足尾銅山の負の遺産」)と言われていますが、後世に遺すことは「負の遺産」だけではなく、「生産者である森を破壊することもできるようになってしまったが、同時にまた、森を守り、創造する力をも与えられているのである」という意味と実践を、将来世代に遺していくことだと思っています。 

青木淳一先生!“森びと”の心に木を植えていただきありがとうございました。天空の森では、先立たれた岸井成格さんをはじめとした森びとの皆さんとゆっくりとお休みください。合掌Photo_5

2023年5月 5日 (金)

脱炭素社会の”希望と不安”を曖昧にしない

 5月なのに真夏のような天気予報。朝夕と日中の気温差が20℃以上もある「こどもの日」。行楽日和かもしれないが、アメリカやスペイン、中国大陸等も温暖化による異常気象が人々の生活を脅かしている。そんな中で、私たちは「脱炭素社会」下での生活スタイルへ向かっている。この地球で生きていくためには避けて通れない生活スタイルの見直し。20230505 将来社会を生きる世代にとっては「脱炭素社会」にはどんな希望を持ち、どのような不安を抱えているのだろう。労働現場と生活現場の変化にどのように対応していくこうとしているのか。シニア世代にとっては「脱炭素社会」の“希望と不安”から逃げるわけにはいかない。何故なら、世界の人々が初めて体験している「複合災害」の要因は我々の世代も含めた人間活動の結果であるから。220505

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 先月29日に実施した「中倉山のブナを元気にする恩送り」では拓陽高校生と話す機会があった。生徒達とは中倉山に植えた「孤高のブナ」の子孫を見守っていく話ができた。今月27日には、「地球環境危機下で“いかに生きるか”を考えるシンポジウム」が実施される。足尾の森づくりを一緒に行ってきた桐生市の樹徳高校生と討論ができることになっている。当時三年生だったK君は、シンポジウムのパネラーの一人として意見を述べてくれる。森びとのシニア達は現役時代と森づくり活動で培った事をまとめて、パネラーとの討論が嚙み合うようにしていきたい。20230505_2

20230505_4 想定外の異常気象の猛威を少しでも抑えていくためには温室効果ガス(二酸化炭素排出)の排出を削減しなければならない。そこには化石燃料関連で働く方々の仕事を奪い、労働現場を再編するということ等が含まれる。農家の方は、化石燃料燃焼によるビニールハウス栽培の変更を迫ることになり、消費者からすれば季節外れの野菜や果物の消費は諦めなければならない。そのような生活は反対だ!ということであれば、毎年巨大化する想定外の異常気象の猛威に怯えた生活に耐えていかなければならない。さらに、原発は想定することが難しい異常気象下で稼働していくことになり、私たちの命と健康維持はますます不安定になる。Photo 脱炭素の生活は避けて通れない。将来世代の“希望と不安”を自分のこととして向き合い、「脱炭素社会」を働く者、漁師・農家・若者たちの視点から深掘りしなければならない。その出会いの場を大切にしていきたい。(顧問 髙橋佳夫)

2023年5月 1日 (月)

都政、国政も反対の声を無視

20230501_191503 現在、明治神宮外苑地区の再開発計画が進められていますが、その計画の見直しを求めて闘っている団体そして市民等が多くいらっしゃいます。音楽家の故・坂本龍一さんが闘病中にもかかわらず、反対の声をあげていたことでご存知の方もいると思います。計画では、超高層ビルを建てて商業開発を行うとともに、神宮球場や秩父宮ラグビー場の建て替えが行われるため、樹木の大量伐採やイチョウ並木への影響が問題となっています。20230501_143539

 遅まきながら、現地を歩いてみました。上の写真は外苑前から望むイチョウ並木です。気温が20℃を超える日でしたが歩道は太陽の光を遮ってくれ、涼しく感じましたし、カフェやベンチで寛ぐ人の姿を見ると、ここは市民にとっての憩いの場だと感じます。

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 球場の脇を通り、新国立競技場の裏には白いフェンスに覆われた一帯があります。すでに工事が始まっているのか、看板の設置やガードマンの配置がされていました。仕事のため、参加できませんでしたが、4月1日にはこの建国記念文庫の森のまわりを「人間の鎖(ヒューマンチェーン)」で抗議活動が行われた場所です。

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 この森には低木を含め3,000本以上の樹木があり、樹齢100年を超えるものもあるそうです。まさに貴重な都市の緑よりも金儲けに走る愚行としか言えません。SNSでは再開発反対の抗議行動の情報は随時発信されていますので、気になる方はチェックをしてみて下さい。また、下記はすべてではありませんが、いくつかオンライン署名が行われていますので、気になる方はチェックしてみて下さい。

経営コンサルタントのロッシェル・カップさんが行っている神宮外苑再開発計画の見直しを求める署名https://www.change.org/p/%E7%A5%9E%E5%AE%AE%E5%A4%96%E8%8B%911000%E6%9C%AC%E3%81%AE%E6%A8%B9%E6%9C%A8%E3%82%92%E5%88%87%E3%82%89%E3%81%AA%E3%81%84%E3%81%A7-%E5%86%8D%E9%96%8B%E7%99%BA%E8%A8%88%E7%94%BB%E3%81%AF%E8%A6%8B%E7%9B%B4%E3%81%97%E3%82%92?utm_source=share_petition&utm_medium=custom_url&recruited_by_id=e7f772f0-85a2-11e8-aa85-3f9d4b12376c&s=03

元ラグビー日本代表・平尾剛さんが呼び掛けている「ラグビーの聖地」の移転・改悪を止めよう署名

https://www.change.org/p/%E7%A7%A9%E7%88%B6%E5%AE%AE%E3%83%A9%E3%82%B0%E3%83%93%E3%83%BC%E5%A0%B4%E3%82%92%E3%81%93%E3%81%AE%E5%9C%B0%E3%81%A7%E7%B6%99%E6%89%BF%E3%81%97%E3%81%9F%E3%81%84-%E3%83%A9%E3%82%B0%E3%83%93%E3%83%BC%E3%81%AE%E8%81%96%E5%9C%B0-%E3%81%AE%E7%A7%BB%E8%BB%A2-%E6%94%B9%E6%82%AA%E3%82%92%E6%AD%A2%E3%82%81%E3%82%88%E3%81%86

(運営委員・小林敬)

2023年4月16日 (日)

加勢の“恩返し”石に名前刻む!

 先日、足尾の森作業後に参加者の皆さんと「エコ散歩in足尾」ついての話し合いをしました。

 2005年、地球温暖化に少しでもブレーキをかけたいと願う会員・ボランティアの皆さんと「臼沢」の斜面に植樹を行い、以降、緩斜面の植樹地に「松木の杜」「新松木の杜」「民集の杜」と名前をつけ森づくりを行ってきました。現在は草刈りや枝払い、獣害柵点検・修繕など育樹活動が中心となっています。会員や多くのボランティアの皆さんと育ててきた森・杜の生長を観察していただく準備を進めています。

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 緩斜面の杜の名称を「民集の杜」に統一し、各杜(北、東、西)の入り口に「民集の杜 北」「民集の杜 東」などと刻んだ石の銘板を設置することにしました。

  杜の入口に置く銘板は、緩斜面にゴロゴロと転がり草の中に露出している石を使わせていただきます。設置には山田組様の協力をいただきました。

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 松木の杜から臼沢の森を眺めると窪んだ急斜面に木々が密集し、宮脇昭先生に教えられた“混植・密植で木々が競争し我慢”、そして、楽しそうに共生する、そんな森の様子を感じました。「この荒廃地で森がつくられれば世界のどこでも森が出来る」と宮脇先生が立った地は18年経ち、芽吹く前の森ですが、風が吹けば木々がなびきハーモニーを奏でるようです。

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 緩斜面に石が堆積していますが、ミズナラやコナラ、ブナなどが足尾の山に生い茂っていた時代は地中深くに静かに佇んでいたと思います。銅の精錬のため樹木が伐られ、亜硫酸ガスや山火事によって大きな石を押さえていた森林と表土が無くなり、緩斜面に転がり落ちてきたのだろうなと草地の岩に目を向けました。

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 実際に、臼沢の森では、所どころで大きな石を木の根元で止めているのを観ることができます。この臼沢の森や民集の杜には、シカやサル、クマ、チョウやカミキリムシなど、いろんな生き物を見かけるようになりました。また、ネムノキやヤマナラシ、ヤマユリやスミレなど、植えた樹種以外の木や草花が森の仲間になっています。風や鳥、動物、アリなど、森に生きる「仲間たち」が私たちの森づくりに加勢してくれます。

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 地中に眠っていた石が今私たちの足元で風雨にさらされています。この石たちも松木村廃村の歴史を見続けてきたのではないかと想像すると、石碑に名を刻む手も震えます。

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 松木村廃村から120年、豊かな森に囲まれ、森に寄り添い生きてきた村民の“想い“を胸に、森への“恩返し”として石碑の字掘りを行います。少しぐらい失敗しても、私たちの「山と心に木を植える」森づくりの想いが観察に来た人たちに伝われば良いのではないかと思います。森に畏敬の念を持ち、石碑に名を刻むという事の意味を大事にしていきたいと願っています。

(運営委員・大野昭彦)

2023年4月 1日 (土)

雪の心配をしたかと思うと今度は雨

    2022年8月、秋田県北部を中心に総降水量が400ミリを越える大雨となりました。とくに私の隣町では、時間降水量が観測史上1位を記録し、河川の氾濫で180棟を超える甚大な被害を出しました。また、私の地域も例外ではなく、自宅近くの用水路が氾濫し1棟が床下浸水。道路は冠水し通行止めとなり、私は寝ずにその状況を見守るしかできませんでした。

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2018    いずれも河川の氾濫ではなく、枝の用水路が溢れ出す「内水氾濫」が原因です。堤防2箇所も崩れ改修工事が行われました。

    そこで、昨年の氾濫後に、町役場の防災部署に河川対策につて質問をしました。町からは「現段階では抜本的なハード対策まではいっていない。防災マニュアルに沿っての対応だ」との回答を受けました。しかし、多くの町民からこの問題への解決を求め、町は「河川の底面をさらう土木工事」を県に対し要望をしました。

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 (運営委員・大山博延)

2023年3月26日 (日)

跡地を森に・・・

2月の中旬に都内にある浜離宮恩賜公園を訪れました。その日は快晴でつい一週間前の寒さが嘘のような暖かさでした。例年より早く(もう当然のような枕詞になっていますね)ウメやナノハナが咲き誇り、クスノキやトウカエデ、タブノキといった大木に癒された一日となりました。意外にも若い人が多かったのがちょっと嬉しかったです。Img_0433

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それにしても周りの高層ビル群の圧力の強さを見るにつけ、これだけの森が都内で本当によく残ったものだと思います。古くから知っている人は「こんなに背景が変わってしまったなんて」と嘆きに似た驚きの声をあげていました。

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この日は築地方面から歩いて行ったのですが、たまたま旧市場の駐車場跡地を囲うフェンスからその中を覗くことができ、その広さに驚きました。さっそく再開発で事業者募集中らしいですが、まだ作りますかね。。。似たようなものを。P2181533
ここで一つ提案。ここを森にする、というのはどうでしょう。都内にこの規模の森ができたらずいぶん素敵なことだと思うのです。隣の浜離宮とあわせてずいぶん大きな緑地になりますよね。浜離宮は庭園だからできるだけ自然に近い森がいいなぁ。できるだけたくさんの子供たちを集めて大々的な植樹祭をやりましょう。似たような「完全に不自然な荒廃」のもとを作るより、よっぽどいいと思うのですけど。気候変動の影響が急速に進む中、今やるべきは無駄な開発ではなくて、自然の多様性を保持すること、それを理解する人を増やすこと。そのためにも森はもっと身近にあってしかるべきだと思うのですが・・・。(運営委員 小黒伸也)

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2023年3月24日 (金)

今年初の森の手入れで深呼吸

1_3 約半年ぶりの足尾入り。自宅から軽自動車を4時間運転して、里の道を走り続けた。3時間半ほど走ると渡良瀬渓谷鉄道の沢入駅付近を走る。山にはヤマザクラが早い春を告げていた。その息吹を感じようと少し窓を開け、今頃に感じるなま温かい空気を吸ってみた。2 足尾町内の足尾駅近くに来ると、新聞で知った2025年オープン予定の「足尾銅山記念館」工事が行われていた。3月31日のオープンらしいので楽しみである。施工者が古河林業㈱というから、森づくりの専門家たちによる将来を生きる世代への知恵が発信されるのだろうと期待している。私の願いは、「負の遺産」を「未来への財産」へつなげてほしい。オープンまではなんとしても元気で森づくりをしていきたい。3 4 足尾ダムまでの道沿いの桜は蕾も小さい。ニセアカシヤの幹や枝が白くなっている。春の陽気が早く訪れていることもあって猿も生きるために必死だが、樹皮を食べられたアカシヤが可哀そうに思えた。 

 5 6松木沢では、「みちくさ庭」のミツマタが花の蕾を膨らませていた。間もなく黄金色に化粧してくれるだろう。7 久しぶりに鹿が歓迎してくれているようだった。車から5㍍程の近くで顔を合わせることができた。明日は久しぶりの森の手入れをする。(顧問・高橋佳夫)