アクセスランキング

« 2022年12月 | メイン | 2023年2月 »

2023年1月29日 (日)

人間が蒔いた「複合被害」は私たちが刈り取る

20230129 九州地方でも水道管の凍結防止が生活上必須になってきたようです。石川県では今季の寒波襲来で1万世帯が水道の凍結・破損し、自衛隊に災害派遣を要請しました。寒波の襲来では、道路、鉄道、空港等もストップしました。このような不便で寒さに耐えなければならない生活は日常的になってきているのではないでしょうか。20230128 環境省は、「熱中症対策を温暖化軽減策の一つと位置付け」て、「気候変動適応法改正案」を今国会に提出するそうです。熱中症警戒アラートの発令時には、冷房完備の施設を開放することを市町村に義務付けるようです。20230128_2 施設の開放は当然なことですが、アラート発令時の屋外労働や教育等の対策も改正案に盛り込むことも大切なことではないかと思います。私たちの生活(経済活動とその政治)が蒔いた種が不便で怯える生活を招いているのかと思うと、その要因は私たちで刈り取るほかないと思います。202301292 誰もが経験したことのない新型コロナウイルス感染パンデミックと地球温暖化による想定外の異常気象の猛威による「複合被害」下では、私たちは自然界と人間社会の均衡を図っていく生活スタイルを実現していく通過点に立っていると思います。また、ロシアとNATO+ウクライナ支援国の戦争も対立するイデオロギーのせいにするのではなく、“地球びとの生存を守っていく”ための和平協議のスタート年にしてほしいと願っています。(顧問 高橋佳夫)

2023年1月21日 (土)

未来は掴み取るしかない

 昨年末、岸田政権は原発の運転期間を延長し、次世代原発の新増設を進めるという原発政策の大転換が決定しました。20230121_172605 昨年8月、岸田総理は脱炭素社会に向けた戦略を協議する「GX実行会議」に出席し、次世代型原発の開発や原発の運転期間延長などの検討を加速するよう指示しました。その後の具体的な議論を行なってきた経産省の有識者会議「原子力小委員会」の委員や岸田総理を議長とした「GX実行会議」の有識者は、原発推進者や利害関係者であり、完全な政府の考えを推し進めるための出来レースでしかありません。

Photo 「聞く力」をアピールしていた岸田総理。しかし、よほど疚しいのかひっそりとパブリックコメントが行われています。今後の国会で議論をされていくのかどうか不明ですが、一方の意見のみを鵜吞みにし、反対する意見を蔑ろにするやり方には納得がいきません。未だに2011年3月11日に発生した東日本大震災により原発事故は収束しておらず、苦しんでいる方々が多くいらっしゃいます。要は、このような大切な議論が国民的な議論になっていないということが問題であり、すべてにおいて現実を無視して「やっている感」「アリバイ作り」であると言わざるを得ません。

16742876342326052697529023108469 森びとでは、昨年から各県ファンクラブの皆さんと一緒に各地で「お茶会」を開催し、気候危機下での生活の備えや知恵を議論してきました。とかく狭い視野でしか生きていない私からすると、様々な方々ら様々な考えを聞き、議論をする機会は新鮮であり、学ぶことが多いと思います。

 今、欧州から輸入され、日本でも各地で行われている自治体が主催した気候市民会議も活発に行われています。参加者は「くじ引き」で無作為抽出で選ばれますが、議員のように支持者の期待を背負わない分、自由な議論を深めやすいのがメリットです。

20230121_171648_copy_1200x1356

20230121_165716_3 私たちの未来を決める原発政策の大転換という問題を国民的な議論がされずに他人事にしていてよいのでしょうか。政治家だけに任せていてよいのでしょうか。市民でもできることを今年も模索して進めていきたいと思います。

運営委員・小林敬

2023年1月10日 (火)

大転換する原発政策、フクシマ原発事故の教訓は何処へ

 森びとプロジェクトの活動は、『地球上のすべての生命にとって欠くことのできない「いのちの森」をつくる活動(事業)を行い、地球温暖化防止に努め、有限な自然資源の価値を最大限に生かし、原発や化石燃料に頼らない人と自然の共生を目指す。この活動を通じて自然環境と人間の生命を大切にする心を育み、志を同じくするすべての人々と連携を図る。』ことを目的に活動しています。その実現のために2023年は「育樹作業と啓発活動」の両輪で取り組んでいきます。会員の皆様の一層のご理解・ご協力をお願いします。

Dsc07770

 昨年12月22日政府の「GX(グリーントランスフォーメーション)実行会議」は、再生エネネルギーや原子力など脱炭素効果の高い電源を最大限活用するとした上で、「①運転期間40年、最長60年の原則維持、停止期間の運転延長を可能にする。②廃止が決まった原発の次世代革新炉への建て替え。」などの基本方針を決定しました。

 その内容は、現在ある原発について、安全最優先で再稼働を進めることを前提に、最長60年と法律で定められている運転期間を原発が停止した期間を除き、その分を追加・延長を認め60年を超えた運転ができるようする。また、政府は昨年夏の選挙まで、原発の新設や増設、建て替えを「想定していない」と繰り返してきましたが、今回の基本方針では、次世代型の原子炉の開発・建設について「廃炉となった原発の建て替えを対象に進める」と、実質的に増設するというものです。

Cimg0341

 この基本方針を閣議決定し、今通常国会に提出するとしていますが、これは2011年3月の福島第1原発事故後、コントロールできない原子力は「可能な限り原発依存度を低減する」、新増設や建て替えは「想定していない」という従来の政府方針を180度転換するものです。これまで政府は、安定供給と脱炭素化の主軸は再生可能エネルギーであり、主力電源化を掲げていたことを葬り去り、原子力を使う事を意味するのではないでしょうか。

Dsc059141

 11年前の安全神話が崩壊した福島原発事故と多くの被災者、未だに故郷に帰れない住民の怒りはどれほどのものでしょうか。議会での審議もなく、国民への説明もないままの大転換は民主主義の根幹を危うくします。

 そもそも基本方針を決定したGX会議は、「温室効果ガスの排出原因となっている化石燃料などから脱炭素ガスや太陽光・風力発電といった再生可能エネルギーに転換して、経済社会システムの全体を見直す」など脱炭素政策を議論する場であり、原発政策を議論する場ではないのです。

Dsc059021

 気候変動により巨大化・頻発化する異常気象は水害や土砂崩壊を引き起こし、私たちの命と暮らしに不安を与えています。原発事故の惨禍から学んだ教訓「人間と原子力は共生できない」ことを思い起こし、将来への責任を果たす道筋を改めて考える時ではないでしょうか。

Cimg0024

 生存基盤である地球の「声」に耳を傾け、いのちを繋ぐ森や海、大地の豊な恵みを育み、平和で安全・安心な持続可能な暮らしやすい社会のルールや仕組みを考えるために、地域の皆さまと気候危機下の暮らしについて忌憚のない話し合い「お茶会」をつくり出していきたいと思います。

(運営委員 大野昭彦)

2023年1月 1日 (日)

森の中から社会を、暮らしを考える1年に。

 新年あけましておめでとうございます。

 2023年も、会員、森ともの皆さんと一緒に山と心に木を植えていきます。

Dsc09642_2

Dsc09597

 地球温暖化にブレーキをかけたいと2005年から植樹を行ってきた足尾・旧松木村跡地の臼沢の森は「成人」(人間でいう18歳)を迎えます。松木、新松木、民集の杜も多くのボランティアや森びとサポーターに育てられすくすくと育っています。

055281_043

055281_029

Dsc09609

Dsc09513

Dsc09412

P5212321_2

Dsc09389

Dsc09542_2

Dsc09436

 植樹を行ってくれた子供たちよりも小さかった苗木は、3年で2mを越えます。木々たちは太陽の光や水分、土中の栄養を得るために互いに競争し、我慢し、共生しています。

P5201431_2

Dsc09375

Dsc09382

 雪が積もり、葉を落とした森は静寂に包まれていますが、「森の住人」たちは森の恵みを得るために木に登り、草をかき分けています。

Dsc09500_2

Dsc09430_2

Dsc093501

Dsc095911_2

 林内に入るとクヌギの木の根元におがくずが落ちており、木の幹に開けられた穴を覗くとカミキリムシが住まいづくりをしています。

Dsc09417_2

Dsc09419

 木々たちは木の芽をぎゅっとつぼませ、春が来ることを待ちわびています。

Dsc09465

Dsc09480

 あらゆる生物が共生し命をつなぐ地球は今、悲鳴をあげ続けています。

 人間の経済活動によって、戦争によって、さらに気候変動が進み世界各地で洪水、干ばつや熱波、大規模な山火事、寒波など異常気象が発生し人間の暮らしを脅かしています。

Img_7521

Img_7581_2

Img_8899

Img_8909

 昨年11月に開催されたCOP27は、化石燃料削減・廃止に向けた具体的な議論が進むことに期待が持たれていましたが、現実は後ろ向きな世界のリーダーの姿でした。

 2023年も昨年以上の災害が発生することを覚悟し、備えなければなりません。

Dsc097031

Dsc09496

P6060013

 生物社会の一員である私たち。2023年も地球温暖化にブレーキをかけたいと願う皆さんと森に入り、森の中から、政治や私たちの暮らしを考えていきたいと思います。そして、森びと各県ファンクラブと共に地域の皆さんと気候危機下の生活を考える話し合い(お茶会)をつくり出していきたいと思います。

 本年もよろしくお願いします。

(運営委員会副代表 清水 卓)