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2024年12月23日 (月)

できないと思っていることをやってみる

 今年の足尾・松木沢の森作業は20日が仕事納めでした。森づくりスタッフ、サポーターの皆さん、1年間の森の手入れお疲れさまでした。また、この活動を支援してくれました各団体さま、会員の皆さまにこころから感謝申し上げます。ありがとうございました。202412251 足尾の森づくりスタッフ、サポーターは年間延べ約1か月も見地に入り、土を耕し、苗木を植え、草を刈り、時には獣害に向き合ってきました。この活動は全ての生きものたちの命を守る「母なる森」へと、その希望を次世代へつなげているものです。202412252 特に、今年(2024年)は煙害や山火事で荒廃地になった地に木を植えて来年で20年を迎える松木沢に、人が森に寄り添って生きていける“松木郷”が体感・体験できる環境を整えてくれました。202412253 来年はこの森を散歩しながら、 “自然環境と人とのつながり”や“森は友だち!”ということを体感できることを楽しみにしています。202412254 世界中の人々の生存を脅かしている異常気象は今年も各国で猛威をふるい、その被害は拡大するばかりで、私たちはその猛威が過ぎ去るのを待つばかりでした。師走の寒気・寒波は乱高下しながら関西や四国などに雪を降らせています。気象専門家や学者によると、暖かく湿った水蒸気が上昇し、それが北極の極渦を分裂させ、寒気が乱高下していることが関係しているらしいのです。世界中の異常気象(大雨・猛暑・暴風・豪雪等)の猛威もそうであるように、地球の海水温度の上昇から異常気象がはじまっているようです。202412255 海水温度を下げていくにはなんとしても温室効果ガス(二酸化炭素)排出を削減しなければなりません。しかし、その排出量が多い国々の首脳は自国の経済第一路線を強力におしすすめ、削減どころではありません。このままでは私たちの生存の基盤であるエコシステムと密接に連関している様々なサイクルは衰弱し、生きものたちの生存がますます不安定になっていきそうです。202412257 足尾の森づくりの恩師である故・岸井成格さんは、生前、“現代は人間活動のパラダイムシフト期だ!”という旨のことを何度も言っていました。私は、今でもそのように思っています。2025年は、自然環境と人とのつながりを軸(自然環境に負荷をかけ過ぎない人間活動)とした社会像を描き、試行錯誤をしながら、私たちが生存していく価値観を養う体感・体験が求められていると思います。(写真上:次世代の草木の土壌づくりに励む煙害地に50年以上も生きるヤシャブシ2本)202412256 私は、20年間の森づくりで得た体感・体験を言葉に紡ぎ、それを森づくり20年後の“山と心に木を植える”活動の軸にできないかと熟慮中です。とりあえずは、2011年東日本大震災・東電フクシマ原発事故の恐ろしさ、新型コロンウイルス感染のパンデミック恐怖の体感・体験で得た生存のための心得を整理しています。来年春には森びとのシンポジウムが計画されているようですから、出席者の方々との意見交換を愉しみにしています。健やかな新年をお迎えください。
                              (森びとアドバイザー・髙橋佳夫)

2024年12月15日 (日)

私たちの暮らしに原発回帰はプラスにはならない

 先日、政府が原発を「可能な限り依存度を低減する」の言葉を削除しようしている記事を目にしました。

20241215_191118_2 先月、国民民主党の玉木代表が石破首相を訪ね、原子力発電所の稼働や建て替え、増設といった活用方法を政府の新たなエネルギー基本計画に明記するよう要請しています。言うまでもなく地震大国の日本では、今年元日に発生した能登地震において土砂崩れや海面の隆起・道路の陥没が起き、原発の立地する地域での災害時の避難の難しさが露呈し、安全面の不安は増したばかりです。9月には豪雨にも見舞われ、いまだに数万人もの人が避難を余儀なくされている中で、住民の方の不安を解消することなく、政府へのこのような要請や原発回帰への動きに怒りしか出てきません。

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 そのような中、アメリカのIT大手の間では、原発による電力を活用しようという動きが広がっているそうで、AIの利用拡大でデータセンターの電力使用量は、2023年~30年の間におよそ3倍になるとの予測もあります。日本では、JR東海の進めるリニアの消費電力は東海道新幹線の約3倍、原発3~5基分の電力が必要と言われています。

20241215_191349 さらに、経済産業省は原発の新増設を進めるため、建設費を電気料金に上乗せできるようにする制度の導入を検討していることが報じられ、私たちの生活を苦しめようとしています。

20241215_194634 果たして、便利になること=私たちの暮らしが良くなるのでしょうか。政府や企業等一部の利益がもたらされる人たちのために原発の利活用が推進されるとしか思えません。原発の利活用に舵を切るということは、原発事故によるリスクを堂々と包み隠すことなく明らかにして議論するべきです。ちなみに、福島原発での廃炉が13年でデブリの12億分の1の回収しかできていません。反省をすることなく、いつとも分からない未来へ廃炉を押し付けていく企業の責任は極めて重大です。

 最後に1つ明るいニュースですが、全国知事会で栃木県の福田富一知事は、新たな温室効果ガス削減目標をより高く設定するよう環境省に要請しました。政府は2035年度までに温室効果ガスを13年度比60%減とする方向で調整中ですが、研究者や市民団体などは75%とも80%減が必要と言っており、削減目標の引き上げのうねりを大きくしていかなければなりません。ひとたび事故が起きれば土地を汚染し、市民のいのち・暮らし・仕事を奪う原発の利活用にはNOをあげ続けていきます。(運営委員・小林敬)

2024年12月 1日 (日)

森ともの声を社会運動へ反映したいと願う

 先月、私は二人の感想文を読んで気候危機等から自分の命を守ることの危機感が薄氷のようなものであることを突きつけられました。

 その感想文は、11月3日に実施した「中倉山のブナを元気にする恩送り」というブナ保護活動でご一緒した登山ガイドのMさんと9日に行われたJREU大宮シニアの森の散策と以前植樹した地の草刈りに参加してくれたMさんからのものでした。

 ガイドのMさんは「一歩一歩自分と向き合い登っていくとそこに凛々しく立つブナが待っており、“このくらいで大変と言ってはダメだよ”と、まるで“人生の師”のような圧倒的なブナに逢う事が出来ました」(一部)と感想を書いていました。シニア会のMさんは「今、我々が行動しなければ手遅れになる。子や孫たちが気付いた時では間に合わない。現状に危機感を持っていない自分に気づかされた」「自分に出来ることを考え、危機意識を共有する場をつくる」と書いていました。その後、登山ガイドのMさんは、今後は中倉山を案内したいと言ってくれました。

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 東京郊外に住む私は、気候危機という生存の不安定な社会を前にして、LED電球の交換、あるいは中倉山のブナの種から苗を育てるという程度のものでした。私は、二人の感想文を読み返し、2024年の世界平均気温が過去最高を示すと言われている中で、次期米大統領の「燃やせ!燃やせ!」に現われている温暖化姿勢、COP29での二酸化炭素大量排出国や産油国等の温暖化対策へのブレーキ踏み言動等を見聞きすると、海水温度は更に上昇するとともに気候も変化し続けると思います。世界各国の人々は年を追うごとに異常気象に怯えた生活を強いられます。

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 このような予測をすると、二人の感想は“気候危機には待ったなし!”というレベルではなく実践的であると思い、感動し、嬉しく思いました。運営委員2年目に入る私の1本の柱がふたりから提案されました。本格的に始まる「エコ散歩in足尾」では、私の生存の危機を一緒に散歩する方々と共有していきたい思います。そして、この危機感を社会へ拡げていく私たちの勇気へ繋げていきたいと考えています。

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 最後になりましたが、己の生存危機に向き合う姿勢を振り返ることの大切さに気づかせてくれた二人に感謝申し上げます。 

 運営委員  田城 郁